金の章 虎に学ぶ



  2 強さの秘訣は手  

 
 虎はネコ科ですから、日頃見ることのない虎を考えるよりも、身近にいるネコを観察したほうがいいでしょう。

 ネコが前足を伸ばす動作を見たことがありますか?もしなければ、飼っている猫、または近所の猫を見つけて、その前で、ボールか何かを転がしてみてください。ネコはそれを捕まえようと前足を素早く動かします。

 ネコの手は人間のように自由には動きません。しかし、あるパターンを持っていて、とても素早い動きです。

 観察すべきポイントは、獲物を捕まえようと前足を出す時、前足全体が硬直したようになることです。ネコが爪を伸ばすときも、爪だけを伸ばすことはできません。爪が伸びるときはかならず前足全体が硬直しています。おそらく、爪だけを延ばせる猫がいるとすると、それはトム(トムとジェリーの)という猫でしょう。

 ・・・実は、人間の手にも、そのネコのような動きが隠されているのです。人間は自由に指が動くので逆に、その動物のような手の動きに普段は気づかないのです。

 手には五本の指がありますが、五本の指のうち、一本だけ特別な指があります。さあ、それはどの指でしょう?
 答えは親指です。なぜなら、親指だけは残りのどの指につなげても輪にすることができるからです。物をつまむときは必ず親指が使われるでしょう。

 親指に対する理解が必要です。親指次第で腕の強さが変化するからです。

 親指はお父さん指・・・と子供のころに教わった記憶はありませんか?人差し指はお母さん、中指はお兄さん、薬指はお姉さん、そして小指は赤ちゃん指です。

 つまり、五本の指は一つの家族です。お父さんが怠け者だと一家は大変です。お父さんがしっかり働くと家族がいきいきとします。つまり、お父さん指、親指を引きしめると、残りの指がしっかりと伸びるのです。

 そして親指には「太陰肺経」という経絡が通っています。つまり、親指は肺と関係しているのです。
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